2016年6月12日日曜日

評5:Oratory/Beyond Earth(2003年)



1. Beyond Earth
2. Living Wisdom
3. Your Glory Won't Last Forever
4. Eternal
5. Heroes From The Past
6. Concilium
7. Old Man's Prophecy
8. Song Of Lust
9. Victory Of Light
10. Story Of All Times
11. A New Quest

ポルトガルのネオクラメタルバンド、Oratoryがヴォーカルをアナ・ララという女性に交代しての2ndだがそれ以降の消息が今一つ判然としない、つまりはそういうクラスのバンドである。演奏が際立って上手いということはないのだが必要十分で、音作り全体は悪くない。少なくとも可能な範囲で最大限に気を使っているような、そんな音作りに感じられる。ヴォーカルの声量は控えめで、あまりメタル向きとは言い難い歌唱なのだけれど、不思議な透明感と牧歌的な雰囲気(このジャケから牧歌的なヴォーカルなんか絶対想像できないよな)で、なんだか良い奴感の漂う、そんな歌い方だ。個人的にはネガティブな評価はしない。キーボードはしっかりとキラキラしていて、この手のメタル特有のキンキラキンキラとした音にしっかり一役買っているが、例えばSKYLARKあたりとは違って上手く全体の編成の中でキーボードにもしっかりと居場所を与えている、そんな印象だ。

所謂B級メタルと言われるような類のバンドなのだけれど、このアルバムの発売当初は専門店でそれなりに良い評価を獲得していたように記憶をしている。基本的にジャケ買いをためらわないタイプの人間ではあるけれど、十三年前の記憶を無理やり引っ張り出したこの感じとしては当時このアルバムは一応面出しされて、それなりに大きく新譜として扱われていて、それで購入したような記憶であるが……まあアテにはならない。

※著作権者または著作権の隣接権利者がアップロードしている動画が見当たりませんでしたので今回は動画の掲載がございません。

全体的に緩急を心得た作曲をしていて、ドラムの音が少々安っぽくはあるのだけれど何処で加速していくのか、来てほしい時に来る、そういう曲が多い。メロスピ系だったら基本的にOKというリスナーには幅広く受け入れられると思う。聴き味は相当やわらかいので、メタルをあまり聴かないというリスナー、例えば日本ならばGLAYなどのポップスとロックの中間ぐらいの音楽を好む層にも楽しんでもらえる一枚だと個人的には感じる。

音数は全体的にそれほど多くはない。特にヴォーカルパートは長めの音符を多用していて、伸びやかな歌唱が強調されている。バックのコーラスはかなりクセがあって、両者の重なり合いはこのバンド、このメンバーでしか出せないものとして聴きどころの一つと言えるだろう。

どの楽曲にも同バンドの特徴的な音が込められていてなかなかこの曲を、という語り方の出来ないアルバムなのだけれど全体を俯瞰するとアルバム後半により聴き味の良い曲が集められているという印象である。Victory Of Light~A New Questまでの流れは是非通しでそのまま聴いてほしい。身もふたもない言い方をしてしまえばこれがこのバンドの全てとも言える、それぐらい濃密な三曲だ。多種多様な引き出しで様々な世界観を表現するバンドというよりは、お定まり、お決まりの雰囲気、音作り、曲作りでしっかり得意の音を持っている、そういうバンドだからこそである。その得意な方向性がツボにはまるリスナーならばきっと、最初から最後まで何の違和感もなく聴きとおせるはずだ。このアルバムにはそれだけの力がある。

日本盤にはA New Quest以降にボーナストラックとしてThe BanglesのEternal Flameメタルアレンジカバー(これがかなり出来が良い!)とMetal Messenger(1st収録曲)のライブバージョンが収録されている。

本作の評価

1、買うべき 
2、聴くべき  <<<<<<<< ジャンルで愛せる人は是非。
3、聴いたら忘れてもいい
4、ヒマな方はどうぞ
5、時間泥棒

北原亜稀人でした。




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