2016年6月17日金曜日

評6:HEAVENLY/COMING FROM THE SKY



カミング・フロム・ザ・スカイ ビクターエンタテインメント

1. カミング・フロム・ザ・スカイ
2. キャリー・ユア・ハート
3. ライディング・スルー・ヘル
4. タイム・マシン
5. ナンバー・ワン
6. アワ・オンリー・チャンス
7. フェアリーテイル
8. マイ・ターン・ウィル・カム
9. アンティル・アイ・ダイ
10. ミリオン・ウェイズ
11. ディフェンダー
12. プロミスト・ランド

仏産のメロスピバンドHeavenlyの1stアルバム。2ndの出来が良くてそこから入った人や、現状のサウンドに近い形態となった3rd以降から同バンドを知った人もいるだろう。それぞれのきっかけによってこの1stの評価は大きく分かれそうだ。

Gamma rayをちょっと弱体化させたような音で、1stながら既に随所に高い技量を感じさせる。アルバム全体を包み込む雰囲気は決して悪くないが、完全にジャーマンメタルに引っ張られた作り(プロデューサーはIron Saviorのピート・シールク、ゲストヴォーカルとして同氏とカイ・ハンセン参戦というからやむを得ないのだろうが)で、多くの人が評価するのと同様、HELLOWEENやGamma rayの幻想を追いかけているアルバムとして仕上がっているが、ポイントとして、それそのものの完全なフォロワーというよりは、HELLOWEENやGamma rayはこういうのだよね! というある程度デフォルメされたイメージへの追従、それが結果としては1st~2ndのHeavenlyの音として一定のクォリティを獲得するに至っている。ヴォーカルの質感はキスクをイメージ、と評されるほどにはキスクではない。どちらかと言えば刺さる系統のハイトーンで、キスクが(恐るべきことに今でも殆ど変わらずに)披露する余裕綽綽な伸びやかなハイトーンとは異なる。線の細さが付きまとう声質だが3rd以降は低~中音も効果的に使うようになりその幅を広げるものの、Youtube上で最も新しい年代の動画を見る限りでは加齢とともに少しずつ高音域が苦しくなってきているようだ。3rd以降ノドを締めるような発声クセが顕著になり始めた、その影響もあるのかもしれない。幅は確かに広がったし、独特な響きの歌いまわしは確かにBen sottoが独自性を手にするために必要だったのかもしれないが個人的には1st~2ndの前向きな、ぶっぱなしのハイトーンに好意を覚える。





アルバム全体は若々しい雰囲気、エネルギーを強く感じる仕上がりである。#2はアルバム全体の物語、そのスタートにうってつけの勢いあるナンバーだ。後年のHEAVENLYが遠ざかっていったタイプの楽曲だが、逆に1st~2ndではこの手のエネルギッシュで前向きでシンプルなスピードチューンがバンドを象徴していた。#4はカイ・ハンセンがヴォーカルとしてゲスト参加しているナンバーで題材にぴったりの明るい聴き味の良作に仕上がっている。深く考えずに聴くことが出来る佳曲だ。途中で短いインストナンバーを挟むが全体的にはファストナンバーが続く様は全体的なメリハリよりもそのエネルギーを放出することに力点が置かれているように感じられる。そのため全体の楽曲イメージが似通ってしまっている点は否定できず、人によっては飽きを感じてしまうかもしれない。

日本盤ボーナスとして収録されている12. プロミスト・ランドは同アルバム唯一のスローな、じっくり聴かせる一曲だ。これ、ボーナスでなくてアルバムの途中に入れることは出来なかったのだろうか、と少し考えてしまう佳曲である。当時のBes sottoの声質、歌い方にとてもよく似合っている曲だし、勢いだけでない、丁寧なフレーズを奏でるギターソロも実に美しい。こういうのも出来る、というアピールとしての力の強い一曲だと思うのだけれど、どういう理由でボーナストラックという位置づけになってしまったのだろう?

残念ながら、現在は活動をあまりしていないのか、公式サイトも行方不明状態になっている。若くエネルギッシュな2枚を経て3rd、4thとどんどん良くなっていったバンドだけに新たな音源での再登場を期待したい。




本作の評価

1、買うべき 
2、聴くべき
3、聴いたら忘れてもいい
4、ヒマな方はどうぞ<<<<<<<< HEAVENLY聴くのに敢えて選ぶ一枚とは言えない。
5、時間泥棒

北原亜稀人でした。



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