2016年6月27日月曜日

評8:Divine wind / REVIVAL



1. Beyond Centuries
2. Braver
3. Art Of Genocide
4. Front Mission
5. Guilty Beauty
6. Tomorrow
7. 夢幻
8. Season
9. 願い - Vo.相川なつ -
10. Desperate Charge
11. 霧雨
12. Missing
13. Inferno
14. Electro Magnetic Assassination
15. 不確かで儚きもの
16. BURN THE BRIDGE
17. Call Of The Awakening
18. 善悪の振子
19. Revival
20. Braver - Vo.相川なつ -

全部で20曲入った「ミニアルバム」という不思議な位置づけもDivine windでは割といつもの事で基本的には楽曲を発表していくことに重きを置いているのか、恐るべきお買い得アイテムを続々と繰り出す新進気鋭のスピードメタルバンド,Divine windなのである。あらかじめ申し上げておくと、このブログの筆者と同バンドは結構長いお付き合いをさせていただいていて、ロングインタビューを収録したり、スタジオ練習の場にお邪魔させていただいたり、このブログの主体であるN.E.YERSと提携していただいたりとお世話になりっぱなしの相手だったりするが、まあそれはそれとして、あらかじめ申し上げておくと一部、やや厳しい論調のレビューになってしまったことをお詫びしたい。同バンドを知り、応援し続けてきている一人のファンとしての思いの丈故であることをご理解いただければ幸いである。



着実に進歩を重ねるDivine windはヴォーカル・ギター・ギターシンセを担当するSATOSHI氏の弾きまくりギターを動とした時に対となる静のギターを担当する旧メンバー、という構図が印象的だったのも昔の話。現メンバーのTAICHIROU氏が加入後は動と動、いずれも弾きまくり系ギターとなりよりパワーを増した。バンドの屋台骨を支えるベースのReo5128氏、ドラム担当Show氏いずれもSATOSHI氏とTAICHIROU氏の激しくしかし正確なプレイングを強烈に支え、それだけでなく随所で自らも前線へと駆け上がっていく。基本的には極めてオフェンシブなバンドである。一方で楽曲の詩世界はどちらかと言えば繊細で、常に戦いを挑んでいるような展開よりはどちらかと言えば情感のこもった世界観を基本軸としている。割とJPOP的な、シンプルな関係性のストーリーが多いのだけれど、丁寧な言葉選びと着想の広げ方は好感を持って受け入れることが出来る。





本作ではバンドサウンド面として全体的に旧来作品に比べ音質の向上が見られる。特にギターとベースのサウンドについては驚くべき改善を見せており、十分に「聴ける」音になっている。ドラムははこれも旧来に比較して音圧面で向上しているがスネアの抜け等まだもう一歩の改善が欲しいと感じる面が少なからずあった。こちらも、少なくともミニアルバムについては電気的な方法での入力、打ち込みを使用しているとのことなので、機器の進歩に伴ってコストが押し下げられていくことによって改善が見られるだろう。一方で、周囲の楽器隊の音質が向上したことに対して生なサウンドをレコーディングするしかないヴォーカルの音質が据え置きになってしまった点は残念だった。ライブとはまるで異なるなんともヌケの悪い音でギターをはじめとした楽器隊の改善が顕著であるからこそそれが目立ってしまっていて後入れ感が強い。なかなかコスト的にも難しい側面はあろうが、個人的には各音源作品の価格を倍~三倍にしてでも十分に売り上げる力を持つバンドだと思う。コストとリリース商品のバランスについて再検討する時期にきているのではないか、と感じるところである。

多彩な楽曲が収録される同バンドのアルバムにはいつも驚かされるが、一方でこれは相変わらずということになるのだろうけれど世界観に統一性はあまりなく、良い表現としての「多彩さ」の一方で、悪く表現してしまえば「見本市」的な状態に陥っている。特にDivine windの場合は彼らの位置づけとしての正式リリースアルバムとそうでないものの楽曲収録数や傾向にそれほど差がないため、バンドとしての実像を聴取者に与えづらい点が少々勿体ないように感じる。また、さまざまな作品において入れ替わり立ち代わりゲストヴォーカリストが登場するが、個人的にはまるで必要性が理解できない。決して上手くもない極めて一般的なヴォーカリストでセールス的に何か寄与するとも思えないのだが友情出演的なイメージでとらえるべきなのだろうか。残念ながら本作に参加している女性ヴォーカリストについても、これまでのDivine wind作品に登場してきたゲストヴォーカル勢よりは幾分まともではあるもののこれといってコメントの必要なヴォーカルだとは思えなかった点は残念だった。ハイトーンで伸びのあるSATOSHI氏の代わりとしてヴォーカルをとる以上、性別はさておき同じような性質のヴォーカリストを連れてきて歌わせたところで面白くなるかどうか、と言えばやはり疑問が残る。

全体の楽曲を見ていく。Taichirou氏加入後の同バンドは積極的にギターのハモりフレーズを取り入れており、今作でも、美麗でこれまでの同バンドのインストゥルメンタルよりもやや手の込んだオープニングチューンから続いて披露されるBraverにおいて扇動的で、思わず拳を突き上げたくなるツインリードフレーズが高らかに響く。続くArt Of Genocideはこれまでの同バンドにはあまり見られなかった、サウンドだけでなくテーマ的にも極めてオフェンシブな楽曲。スタスタ、と小気味良いスネアが先導し、サビパートで爆発的に広がる展開はライブ受けも良さそう。この速度の楽曲であっても涼しい顔で再現出来てしまうのがDivine windの特長の一つだ。
Tomorrowは同じバンドおなじみの楽曲で、今回はより状況の良い録音で再録されている。SKYLARKのMt.Fujiのように末永く収録されることになるのかもしれず、個人的には進化していく楽曲としてそれも面白いのではないかと思う。そしてわざわざ再録するだけあり、確かに音質面で著しい進化をしている。本作を持って現在の最新パッチという見方で良さそうだ。
後半、11曲目に収録された霧雨は丁寧に描かれた歌詞世界に注目したい。音質を向上させた再録曲ではあるが、全体的にやや整理された印象。ピアノの優しい間奏からなだれこむソロパート(ギターとギターシンセ?)は圧巻。ヴォーカリストとしてのSATOSHI氏のレンジの広さにも注目したい一曲だ。続くMissingは典型的なDivine wind節。これぞDivine windの速いのだぜ! と言わんばかりの展開。バンドの音をしっかり持っているから出来る一曲。プレイ難易度の高いフレーズが多く、展開も速く、ヴォーカルは超がつくハイトーン。ギターソロは情熱的な弾きまくりプレイでありながらも叙情性を兼ね備える。一般的なバンドでは到底真似のできない、Divine windならではの曲世界の、まさに真骨頂と言える一曲だ。二トラックの幕間を挟んでの「不確かで儚きもの」はライブで再現するとしたらドラムが死んでしまいそうな猛烈スピードチューンでゲーム音楽的な響きながらサビメロの爆発力と一挙に世界を広げる展開のセンスはさすがの一言。また間奏ではこれまでになくデジタルなサウンドをフィーチャーしており、Divine windの新たな展開を予感させる一曲だ。

活発な活動をエネルギッシュに続けるDivine windは常にファンの期待を上回る作品を世に送り出し続けている。これは確かな事実であり、次回作にも期待したい。次は今作よりも更に音質を向上してくるだろうし、更に速い曲を用意してくるかもしれない。常に進化し発展していくバンドだから、応援する側としても実に楽しい。本稿を仕上げているのが2016.06.26である。7月3日にはまた大きなイベントに出演するとのことだ。今後の、想像もつかないような進化を一ファンとしても楽しみにしている次第である。

本作の評価

1、買うべき <<<<<<<<YOUTUBEのクロスフェードをまずは是非ご覧ください。
2、聴くべき
3、聴いたら忘れてもいい
4、ヒマな方はどうぞ
5、時間泥棒

北原亜稀人でした。



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