2016年7月10日日曜日

月報1-2016.06月

 HR/HMシーンの楽曲とは我が世代の中では人並み以上に付き合ってきた自信があるけれど、これほどディープにもぐりこんで聴くことが出来るようになったのはこの素晴らしいストリーミングという新たな文明のおかげであることはまず間違いない。
 一般的な生活があって、そこに要する資金が限られている以上、気になった全ての音楽作品を購入することはとても出来ない。マニアなら、やれアナログは素晴らしく云々、なのかもしれないけれど個人的には全く馬鹿げていると思っている。スペースも資金も有限だ。経済的であることは素晴らしい! そういうわけで、俺はAPPLE MUSICを全力で支持する。いや、別にGOOGLE PLAY MUSICでも良いのだけれど。信用ならなさはどちらも似たようなものだろうし。

 今月(2016.06月)はざっくり言うと前半はRageばかりを聴いて、後半はSaratogaからスタートしてスパニッシュな作品を集中して聴いた。購入して聴いたのは国産のShiver of Frontier /Memory of  Destinyぐらいか。あとは基本的にAPPLE MUSIC。別にルールとして定めているわけではないけれど、聴きたい音楽の全てがAPPLEから配信されるわけでもないし、ちゃんと必要に応じてお金は使う。忙しくてなかなかライブを観にはいけない状態が続いているけど。

 Rageは新譜から順番に古いものに向かって改めて聴きなおしていった。速いものからどっしりとしたものまで、何をやっても全てを自身のサウンドとして発信できるワグナーのヴォーカル技術は聴いていて本当に気持ちが良い。新譜ではメンバーが交代になったけれど、よりストレートな、骨太な音楽になっていて、中には退屈な類の原点回帰と見ているようなファンもいるようだけれど個人的には望むところ。Rageの長い歴史の中の、メインストリームが強烈に前面に出ている素晴らしい一枚だと思う。ギターがテクニカルでなくなった、とかその手の感想が適切かどうかは何とも言えない。俺自身はヴォーカリストとしてずっと訓練してきているから、まずヴォーカルがフロントマンとして表現力を有しているかどうかを聴いてしまう。ギターソロの味付けが少し変化したことについて「全く」感想がないわけではないけれど、それによって減点的に音楽を捉えたりはしない。むしろ、楽曲の中で存在感を発揮する美しいギターフレーズがあれば、それで十分だと思う。必ずしも「弾きまくらなくても」良い。だから俺はあまりイングヴェイの作品が好きではないのかも。どのインタビュー見てもシンガー軽視なんだよね、イングヴェイ。七月号のB!誌じゃドラマーも否定してたし。まあその結果の新譜は残念としか言いようがない音質だったと個人的には感じているし、世間で評価されているほどヘタクソだとは思わないけれど、イングヴェイ自身のヴォーカルは楽器の一つとしては聴けてもシンガーの「歌」としては評価不可能! 一度聴けば十分だ。俺は別に保守的な聴き手ではないけれど、悪口を言うために嫌いな音楽をじっくり聴く奴はバカだと思う。つまらねえ、と感じたらさっさと止めて次のアルバムに行けばいい。

 スパニッシュ系を集中して聴いた月の後半は、なんだか不思議な時間だった。勿論、それ以外のバンドも聴いたし、このブログのレビューや俺のツイートでもわかるように無軌道に聴きまくっていたんだけれど、何故だか気が付くとスパニッシュな響きに引き寄せられてSaratogaやDarksun、Mago de Ozなんかをよく聴いた。あとは無軌道な中でもHangarやHYBRIA、Angraも聴いていたから、欧州風や北米的なものとはまた違う響きが欲しい時期だったのか。Saratogaの今年出たアルバムは心から名盤だと思う。抜群に巧いというのとは違うけれど、何度も何度も聴きたくなる。ジャケットのデザインセンスもすごく俺のツボにはまってしまって、何か聴きたいな、という時に、未聴のままで放置しているアルバムが何枚もあるのについSaratoga/Morir en el Bien,Vivir en el Malを手に取ってしまう。問題は一つ。俺はスペイン語が一切分からないことだけ、かな……。

 購入して聴いたShiver of FrontierのアルバムMemory of  Destinyは、楽器隊がとても頑張っている佳作だった。ヴォーカルは今一つ、高いトーンは良く出ていたけれど硬さが残っているのか、オペラティックと言うにもか細い、率直に言ってあまり出来の良い歌唱ではなかった。ところで、特にハイトーンだとどうして日本のシンガーの多くはあんなにみっともなく力んで歌ってしまうんだろう。声帯の都合上、欧州的な歌いまわしが厳しいってのは聴いたことがあるけど、そういう問題でなく単純に力み過ぎだと思う。別にマイケル・キスクやカイ・ハンセンの物真似を所望するわけじゃないけれど、クリーンならクリーンで、もっと自然に歌えば良いと思う。高いトーンを出すことだって、別に力まなくてもテクニックでカヴァーすべきことだし、その手のテクニックは訓練によって習得すべきものだ。例えばDivine windのSATOSHI氏はその点素晴らしくプレーンな歌唱で、日本人のメタルを歌うヴォーカリストの中でもそうとう上手い部類に入ると思う。
 Shiver of Frontierについて話を戻せば、今作ではまだまだ独自性という面でも弱かったし、メインタイトルに対して基本的に歌詞はこれもまた率直に言って上手いとは言えない日本語詞であるなど、もう一つ惜しい点が多い作品だった。前述のとおり楽器隊の演奏技術は恐ろしく高いし、ヴォーカルも、現状はどうも才能で歌っている感じがするが、技術的な面の習熟によって強烈な伸びしろを持っていると感じた。ドラムとキーボードを募集中ということだし、次作にも期待したい。

良い音楽で良い毎日を! Akito Kitahara




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